
1936年東京生まれ。科学史家、科学哲学者。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。上智大学、東京大学先端科学技術研究センター、国際基督教大学、東京理科大学大学院、東洋英和女学院大学学長などを経て、豊田工業大学次世代文明研究センター長。著書に『科学者とは何か』『文明のなかの科学』『あらためて教養とは…もっと読む
- 『失格でもいいじゃないの 太宰治の罪と愛』(講談社)村上 陽一郎
読後永年の嫌悪感、ほとんど消えた私事から始める不躾をお許し願いたい。評子は戦前から東京・三鷹に住んでいる。住まいはJR駅からほど近く、玉川上…
書評 - 『芸能の力 〔言霊の芸能史〕』(藤原書店)村上 陽一郎
古典が現代に息づく姿生き生きといつも思うのだが、日本語には、「わざ」(漢字では技、あるいは業を当てる、万葉では「和射」の表記も)、あるいは…
書評 - 『音楽家の世界: クラシックへの招待』(河出書房新社)村上 陽一郎
「吉田節」の原点、70年へて古びず実に七十年以上前に刊行された書物の再文庫化である。音楽の語り部秀和さん(敬愛する大先輩に非礼の表現かもしれ…
書評 - 『科学革命の構造 新版』(みすず書房)村上 陽一郎
「パラダイム」概念の名著、待望の新訳待望の新訳の登場です。漸く、という思いもあります。同じ書肆からの旧訳の出版が一九七一年ですから、半世紀…
書評 - 『〈反延命〉主義の時代:安楽死・透析中止・トリアージ』(現代書館)村上 陽一郎
個人の思いが政治利用され得る危険先進圏を中心に安楽死やPAD(医師の助けを借りた死、本書ではPAS)解禁の傾向が広がり、日本でも難病の五十代の女…
書評 - 『医療倫理超入門』(岩波書店)村上 陽一郎
論理によって議論を点検する本欄で扱う書物として、出来る限り邦人の著者の仕事を紹介しようと、翻訳ものは避けてきたつもりだが、本書の安楽死・自…
書評 - 『東大という思想: 群像としての近代知』(東京大学出版会)村上 陽一郎
教養学部が大学を方向付けた良くも悪くも、東大は、日本における最初の近代的大学として発足以後、日本社会のなかに、ある種の場所を占め続けてきた…
書評 - 『シンボルの哲学――理性、祭礼、芸術のシンボル試論』(岩波書店)村上 陽一郎
言語からはみ出すジャンルの論理性旧訳はあるが、今回新訳で文庫として出版されることになった。原著の初版は一九四二年の刊行、その後何回か版を重…
書評 - 『金閣を焼かなければならぬ』(河出書房新社)村上 陽一郎
動機は原体験の後から来る一読、巨(おお)きな一幅の絵を見た思い。システィナ礼拝堂の天井画、アダムの指先のリアルさにまがう、細部のリアルさは…
書評 - 『五輪と戦後: 上演としての東京オリンピック』(河出書房新社)村上 陽一郎
スポーツに食い込む政治最初に極めて個別的な場面を話題にするが、第三章で、人間が書いた遺書のなかでも、かつて飛び抜けて強い印象を私の心に刻み…
書評 - 『心の進化を語ろう: 比較認知科学からの人間探究』(岩波書店)村上 陽一郎
前例ない多様な対象への成果凝縮副題が「比較認知科学からの人間探究」とある。それで、本書のテーマは語り尽くされているが、そもそも「比較認知科…
書評 - 『ものがたり日本音楽史』(岩波書店)村上 陽一郎
「組織づけた音響」の壮大な俯瞰図最初に幾つかお断りを述べねばなるまい。「ジュニア」向け、しかも「新書」という本書の体裁がもたらすかもしれな…
書評 - 『宇宙飛行の父 ツィオルコフスキー: 人類が宇宙へ行くまで』(勉誠出版)村上 陽一郎
夢物語から具体的アイディアへ正直のところ、今はSFにあまり関心はなく、映画でも、いわゆるスペース・オペラなど、全く観なくなったが、戦前海野十…
書評 - 『研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて』(日本評論社)村上 陽一郎
日本の研究現場の問題剔出、対策探るSTAP細胞データ捏造。一般の反応としては、何となくふっきれない思いのまま、記憶の彼方に押しやられがちな事件…
書評 - 『ぼくたちはこうして学者になった: 脳・チンパンジー・人間』(岩波書店)村上 陽一郎
二人の個性が切り結ぶ対話の妙一方は異色の物理学者、残念ながら既に物故。他方は、今や国宝級の霊長類研究の重鎮。今から四半世紀まえに行われた対…
書評 - 『プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第1編 物体の運動』(講談社)村上 陽一郎
科学普及シリーズに入ったニュートン主著言うまでもなく、ニュートンの主著であり、永らく物理学の、いや自然科学の根本を築いた金字塔として君臨し…
書評 - 『ジョン・ケージ 作曲家の告白』(アルテスパブリッシング)村上 陽一郎
『四分三十三秒』への道、克明に語るジョン・ケージ。多少ともクラシック音楽の世界に関心のある方なら、現代音楽作曲界の最前衛を象徴する人物、と…
書評 - 『安楽死を遂げた日本人』(小学館)村上 陽一郎
「自死行」迫真のルポルタージュ読むのが辛い本である。著者には、安楽死を巡る最近の世界の事情を取材した『安楽死を遂げるまで』という好著がある…
書評 - 『ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から』(光文社)村上 陽一郎
欧州的知性主義への反発アメリカと言えば、科学系のノーベル賞受賞者は圧倒的に多いし、学術誌掲載論文数も群を抜いている。つまり誰しもアメリカは…
書評 - 『内村鑑三』(筑摩書房)村上 陽一郎
内村に寄せる温かい眼差し二代に亘(わた)る聖書神学の大家が、父君ゆかりの対象と取り組んだ浩瀚(こうかん)な大作である。悪かろうはずはない。…
書評