読書日記

夏休み企画(書評でGo on a Trip ! )西欧編

  • 2020/08/13

世界各地を〈書評〉で巡る〈書評でGo on a Trip!〉企画、西欧編です!

西欧にGo!

【イギリス】
カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』(早川書房)

評者:豊崎 由美

アクロバティックな語りによってカズオ・イシグロが伝えようとしているのは、国家レベルの忘却が生むかもしれない今・此処の危機なのである。(この書評を読む)

忘れられた巨人 / カズオ・イシグロ
忘れられた巨人
  • 著者:カズオ・イシグロ
  • 翻訳:土屋 政雄
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:単行本(416ページ)
  • 発売日:2015-05-01
  • ISBN-10:4152095369
  • ISBN-13:978-4152095367
内容紹介:
アクセルとベアトリスの老夫婦は、遠い地で暮らす息子に会うため長年暮らした村を後にする。若い戦士、鬼に襲われた少年、老騎士…さまざまな人々に出会いながら雨が降る荒れ野を渡り、森を抜け、謎の霧に満ちた大地を旅するふたりを待つものとは―。失われた記憶や愛、戦いと復讐のこだまを静謐に描くブッカー賞作家の傑作。

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【イギリス】
ブレイディ みかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)

評者:永江 朗

イギリスがEUを離脱するきっかけは移民問題だった。ブレイディみかこの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を、多様化と差別と子どもという観点で読むといろいろ勉強になる。著者はいまもっとも注目されるライターで、イギリスの現在を労働者の街から伝える。(この書評を読む)

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー / ブレイディ みかこ
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
  • 著者:ブレイディ みかこ
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(256ページ)
  • 発売日:2019-06-21
  • ISBN-10:4103526815
  • ISBN-13:978-4103526810
内容紹介:
優等生の「ぼく」が、なぜか元底辺中学に通うことに。毎日が事件の連続の中、何が正しく大切かに悩む日々。落涙必至の傑作エッセイ。

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【イギリス】
アーヴィン・ウェルシュ『トレインスポッティング』(早川書房)

評者:杉江 松恋

イギリスの文化は、正統=イングランド・国教会と異端=イングランド以外のイギリス・カソリックとの対立で成立している。ポップに浮遊するかに見えるウェルシュの小説も、彼がスコットランド人であるという出自ゆえに、この対立構造の上に立脚した小説なのである。(この書評を読む)

トレインスポッティング〔新版〕  / アーヴィン・ウェルシュ
トレインスポッティング〔新版〕
  • 著者:アーヴィン・ウェルシュ
  • 翻訳:池田 真紀子
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(529ページ)
  • 発売日:2015-08-21
  • ISBN-10:415041355X
  • ISBN-13:978-4150413552
内容紹介:
仕事も将来の望みない無意味な毎日の中で繰り広げられる、ジャンキーたちのサバイバル

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【イギリス】
イヴ・K・セジウィック『男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―』(名古屋大学出版会)

評者:大橋 洋一

シェイクスピアからディケンズにいたる英文学史上の古典を題材にした緻密な議論を展開しながら、「ホモソーシャル」概念を、わたしたちにとって使用可能にしてくれるまさに待望の翻訳である。それは「ホモソーシャル」の意味と、その驚くべき適用可能性をいかんなく示してくれる。(この書評を読む)

男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望― / イヴ・K・セジウィック
男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―
  • 著者:イヴ・K・セジウィック
  • 翻訳:上原 早苗,亀澤 美由紀
  • 出版社:名古屋大学出版会
  • 装丁:単行本(394ページ)
  • 発売日:2001-02-20
  • ISBN-10:4815804001
  • ISBN-13:978-4815804008
内容紹介:
ホモソーシャルな文学。シェイクスピアからディケンズにいたる代表的テクストを読み解くことによって、近代における欲望のホモソーシャル/ヘテロセクシュアルな体制と、その背後に潜む「女性嫌悪」「同性愛恐怖」を掴み出し、ジェンダー研究に新生面を拓いた画期的著作。

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【イギリス】
中島 俊郎『イギリス的風景―教養の旅から感性の旅へ』(NTT出版)

評者:高山 宏

独自の風景観を持たなかった18世紀初頭の英国紳士たちはイタリアを美の理想の標的に決め、イタリア風景を絵の形で輸入し、それを英国という異土で立体的に立ち上げるという倒錯を演じた。英国華紳の教養の印がイタリア風景にどれほど通じているかで測られた。歩きながら、これは画家某が描いたイタリアのどこそこの風景と見抜いていくのが、教養の印。(この書評を読む)

イギリス的風景―教養の旅から感性の旅へ / 中島 俊郎
イギリス的風景―教養の旅から感性の旅へ
  • 著者:中島 俊郎
  • 出版社:NTT出版
  • 装丁:単行本(246ページ)
  • 発売日:2007-02-01
  • ISBN-10:4757141491
  • ISBN-13:978-4757141490
内容紹介:
風景画、湖水地方散策、ガーデニング-旅人を魅了する「イギリス的風景=田園」。この牧歌的眺めは、18世紀の貴族がギリシャ、ラテン精神の源流を求めてイタリアを旅したグランド・ツアーを皮切りに、イギリス人の"感性の旅"によって誕生したものだった。古典的美意識はイギリス国内で変容をとげ、「自然が美しい」という感性を育み、風景式庭園、園芸の流行を経て町のそこかしこに田園風景が広がるに至った。イタリア、湖水地方、ロンドンを舞台に、理想郷"アルカディア"を求めて闊歩するイギリス人の足跡をたどる力作。

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【アイルランド】
ウィリアム・トレヴァー『聖母の贈り物』(国書刊行会)

評者:豊崎 由美

トレヴァーの人間を見つめる視線には容赦がありません。けれど、絶望を絶望として描きながらも、その眼差しの奥には、残酷な宿命を受け入れるしかない人間の諸相を肯定する励ましという光が見えるように、わたしには思えるのです。(この書評を読む)

聖母の贈り物  / ウィリアム・トレヴァー
聖母の贈り物
  • 著者:ウィリアム・トレヴァー
  • 翻訳:栩木 伸明
  • 出版社:国書刊行会
  • 装丁:単行本(408ページ)
  • 発売日:2007-02-01
  • ISBN-10:4336048169
  • ISBN-13:978-4336048165
内容紹介:
普通の人々の人生におとずれる特別な一瞬、運命にあらがえない人々を照らす光-。"孤独を求めなさい"-聖母の言葉を信じてアイルランド全土を彷徨する男を描く表題作をはじめ、ある屋敷をめぐる驚異の年代記「マティルダのイングランド」、恋を失った女がイタリアの教会で出会う奇蹟の物語「雨上がり」など、圧倒的な描写力と抑制された語り口で、運命にあらがえない人々の姿を鮮やかに映し出す珠玉の短篇、全12篇収録。稀代のストーリーテラー、名匠トレヴァーの本邦初のベスト・コレクション。

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【アイルランド】
『ユリシーズ航海記: 『ユリシーズ』を読むための本』(河出書房新社)

評者:池内 紀

世界の文学のなかで、とびきり翻訳が厄介な作品が二つある。一つはジョイスの『ユリシーズ』であり、もう一つはジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』である。(この書評を読む)

ユリシーズ航海記: 『ユリシーズ』を読むための本 / 柳瀬 尚紀
ユリシーズ航海記: 『ユリシーズ』を読むための本
  • 著者:柳瀬 尚紀
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(373ページ)
  • 発売日:2017-06-13
  • ISBN-10:4309025854
  • ISBN-13:978-4309025858
内容紹介:
天才翻訳家が遺した『ユリシーズ』に関する文章を集成。第12章の発犬伝をはじめ、音楽、競馬、試訳など、ジョイスフルな一冊。

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【フランス】
堀江 敏幸『河岸忘日抄』(新潮社)

評者:豊崎 由美

無人島に持っていける本を一冊選べと言われたら、今のわたしなら間違いなくこの小説を選びます。物語と思惟(しい)と語りがこれほど清冽な流れをなしている作品は、それほど多くはないのですから。(この書評を読む)

河岸忘日抄  / 堀江 敏幸
河岸忘日抄
  • 著者:堀江 敏幸
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(405ページ)
  • 発売日:2008-04-25
  • ISBN-10:4101294739
  • ISBN-13:978-4101294735
内容紹介:
ためらいつづけることの、何という贅沢-。ひとりの老人の世話で、異国のとある河岸に繋留された船に住むことになった「彼」は、古い家具とレコードが整然と並ぶリビングを珈琲の香りで満たしながら、本を読み、時折訪れる郵便配達夫と語らう。ゆるやかに流れる時間のなかで、日を忘れるために。動かぬ船内で言葉を紡ぎつつ、なおどこかへの移動を試みる傑作長編小説。

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【フランス】
野崎 歓『フランス小説の扉』(白水社)

評者:堀江 敏幸

ふたつの世紀にまたがる芸術を、これほどやわらかい紐で結んでくれた事例はかつてなかったし、とりわけ「今なお興奮を味わわせてくれる傑作の数々が、断固『反フランス的』なものとして書かれている」との指摘は、けだし名言と言って差しつかえないだろう。その名言を支えているのが、あちこちで輝きを放つ、鋭い批評の数々だ。(この書評を読む)

フランス小説の扉 / 野崎 歓
フランス小説の扉
  • 著者:野崎 歓
  • 出版社:白水社
  • 装丁:新書(286ページ)
  • 発売日:2010-11-23
  • ISBN-10:456072119X
  • ISBN-13:978-4560721193
内容紹介:
「小説に読み耽っている人間ほど幸福なものはないだろう。きびしい現実の法則を少しばかり脱け出し、とりわけ自分自身から自由になって…」。トゥーサンやジャン・ルノワールの翻訳家が19世紀の名作から20世紀の逸品まで、小説の読みどころを語る「フランス小説美味礼賛」。uブックス化に際し、書き下ろしの一章を新たに収録。

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【フランス】
ル・クレジオ『ル・クレジオ、映画を語る』(河出書房新社)

評者:野崎 歓

それにしても、ノーベル賞作家がなぜここまで映画に惚れ込み、夢中になって語るのか。スクリーンという「鏡」は、他者への共感を促すとともに観客自身をも映し出す。「自分が何者なのか」を教えてくれる点にも映画の「呪術」としての魅惑がある。(この書評を読む)

ル・クレジオ、映画を語る / ル・クレジオ
ル・クレジオ、映画を語る
  • 著者:ル・クレジオ
  • 翻訳:中地 義和
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(252ページ)
  • 発売日:2012-06-12
  • ISBN-10:4309205968
  • ISBN-13:978-4309205960
内容紹介:
リュミエール兄弟、溝口健二、パゾリーニから、マフマルバフ、イチャンドンまで。ノーベル賞作家が、映画芸術への愛を熱く語る半自伝的エッセイ。

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【フランス】
ミシェル・ウエルベック『服従』(河出書房新社)

評者:柳下 毅一郎

ウエルベックは問いかける。人は自由を求めてきた。自由を求めて王を殺し、神を殺した。だが、本当にそれで現代人は幸福になったのだろうか? この小説が本当に恐ろしいのは、その答えが説得力をもって迫ってくるところである。(この書評を読む)

服従 / ミシェル・ウエルベック
服従
  • 著者:ミシェル・ウエルベック
  • 翻訳:大塚 桃
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:文庫(324ページ)
  • 発売日:2017-04-19
  • ISBN-10:4309464408
  • ISBN-13:978-4309464404
内容紹介:
2022年仏大統領選で同時多発テロ。極右マリーヌ・ルペンと穏健イスラーム党首が決選に。世界の激動を予言した書。解説=佐藤優

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【フランス】
パリ憧憬の文学九選

評者:鹿島 茂

バルザックの小説は、いかに生くべきかを追い求める、旧制高校的な読書とはおよそ無縁である。というよりも、たいていは、成り上がることばかりを考えている俗物的な青年が主人公になっている。『ゴリオ爺さん』の場合も主人公はパリに上り、立身出世を望むラスチニャックという学生である。(この書評を読む)

ゴリオ爺さん / バルザック
ゴリオ爺さん
  • 著者:バルザック
  • 翻訳:平岡 篤頼
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(523ページ)
  • 発売日:1972-05-02
  • ISBN-10:4102005056
  • ISBN-13:978-4102005057
内容紹介:
奢侈と虚栄、情欲とエゴイズムが錯綜するパリ社交界に暮す愛娘二人に全財産を注ぎ込んで、貧乏下宿の屋根裏部屋で窮死するゴリオ爺さん。その孤独な死を看取ったラスティニャックは、出世欲に駆られて、社交界に足を踏み入れたばかりの青年だった。破滅に向う激情を克明に追った本書は、作家の野心とエネルギーが頂点に達した時期に成り、小説群"人間喜劇"の要となる作品である。

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【ベルギー】
I・プリゴジン『混沌からの秩序』(みすず書房)

評者:吉本 隆明

「今日の知見によれば、生物圏は全体としてもその個別成分としても、それが生きていようが死んでいようが、平衡から遠く離れた状態にある。この文脈から、生命は自然の秩序から遠く離れて、実際に起った自己組織化過程の最高の形態のようにおもえる」 (この書評を読む)

混沌からの秩序 / I・プリゴジン, I・スタンジェール
混沌からの秩序
  • 著者:I・プリゴジン, I・スタンジェール
  • 翻訳:伏見 康治, 伏見 譲, 松枝 秀明
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(464ページ)
  • 発売日:1987-07-01
  • ISBN-10:4622016931
  • ISBN-13:978-4622016939
内容紹介:
本書は、古典科学における機械論的な世界像から現代の進化論的な世界像にいたる3世紀間の科学の発展を「人間と自然との対話」という視点から跡づける。さらに、非線形、不安定、ゆらぎなどの概念をキーワードに、宇宙・生命・社会のあらゆる現象に見られる秩序形成過程の具体例を探り、散逸構造や進化の諸理論がはらむ新しい世界観構築への展望を提示する。

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【ベルギー】
ルイズ・ド・ラ・ラメー『フランダースの犬』(徳間書店)

評者:森 まゆみ

幼稚園の紙芝居によると、絵を見た喜びに満足したネロとパトラッシは疲れてすやすやと眠り、翌朝、目覚めてまた元気に木の車を引っぱって、村に帰るはずであった。たしかそうなっていた。(この書評を読む)

フランダースの犬: 徳間アニメ絵本36 / ルイズ・ド・ラ・ラメー
フランダースの犬: 徳間アニメ絵本36
  • 著者:ルイズ・ド・ラ・ラメー
  • 出版社:徳間書店
  • 装丁:大型本(111ページ)
  • 発売日:2015-08-08
  • ISBN-10:4198640009
  • ISBN-13:978-4198640002
内容紹介:
ネロとパトラッシュの感動の名作アニメがいよいよ徳間アニメ絵本に!

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【スイス】
フリードリヒ・デュレンマット『失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選』(光文社)

評者:鹿島 茂

デュレンマットの作品というのは現代の「寓話(ぐうわ)」で、読者は常に自分が生きている時代の「なにか」を連想させられることになる。(この書評を読む)

失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選  / フリードリヒ・デュレンマット
失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選
  • 著者:フリードリヒ・デュレンマット
  • 翻訳:増本浩子
  • 出版社:光文社
  • 装丁:文庫(328ページ)
  • 発売日:2012-07-12
  • ISBN-10:4334752535
  • ISBN-13:978-4334752538
内容紹介:
いつもの列車は知らぬ間にスピードを上げ…日常が突如変貌する「トンネル」、自動車のエンストのため鄙びた宿に泊まった男の意外な運命を描く「故障」、粛清の恐怖が支配する会議で閣僚たちが決死の心理戦を繰り広げる「失脚」など、本邦初訳を含む4編を収録。

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【スイス】
宮下 誠『越境する天使 パウル・クレー』(谷川 渥)

評者:谷川 渥

「クレーは、これまで一般に考えられてきたような、天使のようなイノセントな画家でもナイーヴな画家でも金輪際、ない」と氏は書いている。(この書評を読む)

越境する天使 パウル・クレー / 宮下 誠
越境する天使 パウル・クレー
  • 著者:宮下 誠
  • 出版社:春秋社
  • 装丁:単行本(305ページ)
  • 発売日:2009-12-01
  • ISBN-10:4393955064
  • ISBN-13:978-4393955062
内容紹介:
力なき者がそれでも生きつづけるための「悪意と戦略」。迂回、先回り、横道の探索-画家のぎりぎりの闘いの痕跡を追いかけた「批評家」が、私たちに宛てた/仕掛けた最期の「手紙」。

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【ドイツ】
トーマス・マン『魔の山』(新潮社)

評者:辻井 喬

人間に対する感性的な認識がおろそかにされないのなら、小説という芸術の形式が世界を相手にしてこのような虚構を描き得るのだという発見は私の心を震撼しつづけた。(この書評を読む)

魔の山 / トーマス・マン
魔の山
  • 著者:トーマス・マン
  • 翻訳:高橋 義孝
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(710ページ)
  • 発売日:1969-02-25
  • ISBN-10:4102022023
  • ISBN-13:978-4102022023
内容紹介:
第一次大戦前、ハンブルク生れの青年ハンス・カストルプはスイス高原ダヴォスのサナトリウムで療養生活を送る。無垢な青年が、ロシア婦人ショーシャを愛し、理性と道徳に絶対の信頼を置く民主主義者セテムブリーニ、独裁によって神の国をうち樹てようとする虚無主義者ナフタ等と知り合い自己を形成してゆく過程を描き、“人間"と“人生"の真相を追究したドイツ教養小説の大作。

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【ドイツ】
ベルンハルト・シュリンク『夏の嘘』(新潮社)

評者:池内 紀

ちょっとした嘘、とっさに、あるいは何げなく口にした嘘、わざと言わずにおいた無言の嘘。みずから封印していた嘘と対面して、男と女の日常が微妙にもつれ、変化していく。気がつくと、「一緒の生活はもう終わるが、元の自分の生活にもまだ戻ってはいない。無人地帯にいるようなものだった」。(この書評を読む)

夏の嘘 / ベルンハルト・シュリンク
夏の嘘
  • 著者:ベルンハルト・シュリンク
  • 翻訳:松永 美穂
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(298ページ)
  • 発売日:2013-02-01
  • ISBN-10:4105901001
  • ISBN-13:978-4105901004
内容紹介:
シーズンオフのリゾート地で出会った男女。人里離れた場所に住む人気女性作家とのその夫。連れ立って音楽フェスティバルに出かける父と息子。死を意識し始めた老女と、かつての恋人-。ふとしたはずみに小さな嘘が明らかになるとき、秘められた思いがあふれ出し、人と人との関係ががらりと様相を変える。ベストセラー『朗読者』の著者による10年ぶりの短篇集。

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【ドイツ】
W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』(白水社)

訳者あとがき

アントワープ、ロンドン、プラハ、テレージエンシュタット、マリーエンバート、ニュルンベルク、パリ……いわれのない衝動に駆られるまま、あるいは抑圧してきた過去を取り戻すべく彼が訪れるヨーロッパの諸都市。それは個人と歴史の深みへと降りていく旅だった。(この書評を読む)

アウステルリッツ / W・G・ゼーバルト
アウステルリッツ
  • 著者:W・G・ゼーバルト
  • 翻訳:鈴木 仁子
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(298ページ)
  • 発売日:2020-02-29
  • ISBN-10:4560097488
  • ISBN-13:978-4560097489
内容紹介:
建築史家のアウステルリッツは、帝国主義の遺物の駅舎、要塞、病院、監獄を巡り、〈私〉に暴力と権力の歴史を語る。解説:多和田葉子

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【オーストリア】
クラウディオ・マグリス『オーストリア文学とハプスブルク神話』(書肆風の薔薇)

評者:種村 季弘

ハプスブルク家を帝統として維持された帝国はほぼ千年続き、一九一八年に消滅した。では、多民族多言語国家としてたえず民族主義的分離主義による解体の危機に脅かされながら、ヨーロッパ千年の激動の歴史のなかでこの国がなぜ安定を保っていられたのか。マグリスは、その秘密を「ハプスブルク神話」にさぐる。(この書評を読む)

オーストリア文学とハプスブルク神話 / クラウディオ マグリス
オーストリア文学とハプスブルク神話
  • 著者:クラウディオ マグリス
  • 翻訳:村山 雅人,藤井 忠
  • 出版社:書肆風の薔薇
  • 装丁:単行本(504ページ)
  • ISBN-10:4891762373
  • ISBN-13:978-4891762377
内容紹介:
爛熟の極に達したウィーン世紀末文化。耽美的なデカダンス。そこに潜む国家と個人の崩壊感覚。再生への焦燥感。時代の不安をワルツの狂おしいまでの刹那的陶酔に紛らわせながら、安定と延命を願う「神話」が生まれる。没落し消滅しゆく帝国。失われた世界を惜しむ者に抗いがたくつきまとう誘惑。-現実の世界に背を向け、夢・幻想・諦観の交錯する詩的空間で人生の奥義を探究するオーストリア文学の系譜を、中世以来のハプスブルク的伝統に溯り、「双頭の鷲」の帝国独特の歴史体験から見通したオーストリア文学の世界。

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【オーストリア】
トーマス・ベルンハルト『破滅者』(みすず書房)

評者:山崎 正和

ベルンハルトの小説集『破滅者』は、二編の中編作品、表題作と「ヴィトゲンシュタインの甥」からなっているが、いずれも要約すればこの「わかる」人の「わかる」がゆえの悲劇だといえる。二作とも主人公がわかるのは音楽だが、尋常ならぬわかり方が彼らを狂わせ、ついには自殺へと導いてゆく。(この書評を読む)

破滅者 / トーマス・ベルンハルト
破滅者
  • 著者:トーマス・ベルンハルト
  • 翻訳:岩下 眞好
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(392ページ)
  • 発売日:2019-11-11
  • ISBN-10:4622088460
  • ISBN-13:978-4622088462
内容紹介:
グレン・グールドを主要人物にした『破滅者』と『ウィトゲンシュタインの甥』の二編の音楽小説にして、著者独自の真骨頂をしるす書。

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【オーストリア】
ペーター・ハントケ『幸せではないが、もういい』(同学社)

評者:豊崎 由美

勉強することは許されず、愛する男とは結婚できず、夫と子供たちの世話をするだけの齢を重ねていくかつてはざらに見られた女たちの一人だった母。ハントケはその凡庸ではあっても、本人にとっては比類なき人生を、ナチスの軍靴に踏みにじられたヨーロッパの歴史に重ね合わせようと試みる。が、それはよく出来た“お話”のようにうまくは運ばない。(この書評を読む)

幸せではないが、もういい  / ペーター・ハントケ
幸せではないが、もういい
  • 著者:ペーター・ハントケ
  • 翻訳:元吉 瑞枝
  • 出版社:同学社
  • 装丁:単行本(158ページ)
  • 発売日:2002-11-00
  • ISBN-10:4810202151
  • ISBN-13:978-4810202151
内容紹介:
51歳で自殺した母。事実を前に言葉は「闇の中へ失墜する」事実と言葉をめぐる闘いの記録。ハントケ初期の代表作。

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【オランダ】
アンソニー・ベイリー『フェルメール デルフトの眺望』(白水社)

評者:高階 秀爾

アンソニー・ベイリーの『フェルメール デルフトの眺望』は、当時の社会状況に広く眼配りすることによって資料の不足を補いながら、この謎の画家の本質に迫ろうとした労作である。例えば、彼が師事した、あるいは影響を受けた可能性のある画家が数多く紹介されている。(この書評を読む)

フェルメール デルフトの眺望 / アンソニー・ベイリー
フェルメール デルフトの眺望
  • 著者:アンソニー・ベイリー
  • 翻訳:木下 哲夫
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(348ページ)
  • 発売日:2002-02-01
  • ISBN-10:4560038856
  • ISBN-13:978-4560038857
内容紹介:
デルフトの街を舞台に、レンブラントら同時代の多くの画家との関係、妻や義母、子だくさんの一家の生活を再現、巨匠の真の姿と名画の秘密に肉薄する。評伝の決定版。

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