翻訳家。訳書にエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ1-5巻』(以上新潮文庫)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(河出書房新社 世界文学全集2-1)、J.M.クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、『イエスの幼子時代』『遅い男』、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』『誓願』…もっと読む
- 『朝と夕』(国書刊行会)鴻巣 友季子
生から死までを静かに鮮烈に捉えるこの秋、昨年のノーベル文学賞受賞者ヨン・フォッセによる中篇小説の邦訳が立て続けに刊行された。フォッセの代表…
書評 - 『約束』(早川書房)鴻巣 友季子
家族の死を縦糸に30年、南アの歪み英国のブッカー賞はこのところ、アイルランド(近年とくに勢いがある)、スコットランド、ニュージーランド、カナ…
書評 - 『楽しみと日々: 壺中天書架記』(法政大学出版局)鴻巣 友季子
幾千年を超え、詩人の交感が聞こえる興奮が止まらない。『楽しみと日々 壺中天書架記』は読むこと、書くこと、訳すこと、つまりは生きることをめぐ…
書評 - 『翻訳とパラテクスト: ユングマン、アイスネル、クンデラ』(人文書院)鴻巣 友季子
言語間の水平移動ではすまされない現実翻訳とは二言語間の「等価性の交換」だという認識が一般にある。Aという言語のテクストをBという言語に水平に…
書評 - 『クロス』(河出書房新社)鴻巣 友季子
この数年、性的少数者を題材にした小説が増えている。それを書くことが当たり前になったのだ。川上弘美『森へ行きましょう』や川上未映子『夏物語』…
書評 - 『シャーロック・ホームズの凱旋』(中央公論新社)鴻巣 友季子
私が知る限り、小説家にはスランプを自然現象として受け入れる人と、「虚構」として否定する人がいる。前者の例はジュンパ・ラヒリ。後者の代表はト…
書評 - 『名場面の英語で味わう イギリス小説の傑作: 英文読解力をみがく10講』(NHK出版)鴻巣 友季子
さりげない英文に潜む妙を知る日本語話者はどうしてなかなか英語を話せるようにならないのかという議論が喧(かまびす)しい。その大きな理由の一つ…
書評 - 『彼岸花が咲く島』(文藝春秋)鴻巣 友季子
「生の息吹」と「死の恐怖」の共棲舞台は海上に浮かぶ亜熱帯の島である。トマス・モアの『ユートピア』の理想郷をはじめ、俗世と離れた「島」は、ユ…
書評 - 『花びらとその他の不穏な物語』(現代書館)鴻巣 友季子
日常風景にまぎれた危うい言動きりだすスペイン語圏文学に活気を感じる。とくに女性作家の躍進ぶりがめざましい(今さら「女性」ということを強調す…
書評 - 『方舟を燃やす』(新潮社)鴻巣 友季子
文学の源流にうわさがある。ひとは「つてこと(流言)」に振りまわされる。一九七〇年代に大流行した「ノストラダムスの大予言」や「口裂け女」の都…
書評 - 『地下で生きた男』(作品社)鴻巣 友季子
リチャード・ライトは米国で一九四〇年代を代表する黒人作家だ。過って裕福な白人の娘を殺めてしまった貧しい黒人青年の逃亡と裁判のゆくえを追った…
書評 - 『バグダードのフランケンシュタイン』(集英社)鴻巣 友季子
カズオ・イシグロの『クララとお日さま』など、AIを取り入れ、ポストヒューマニズムとその意義を考える小説が続いて発表されている。それらのAIロボ…
書評 - 『マーガレット・アトウッド『侍女の物語』を読む』(水声社)鴻巣 友季子
作りこみの深い網羅的論集米大統領選に向けた党大会と予備選挙が始まっている。中間選挙以降に新有権者となるZ世代は潜在投票数830万人とも。Z世代…
書評 - 『生まれつき翻訳: 世界文学時代の現代小説』(松籟社)鴻巣 友季子
英語帝国と物質主義競争社会への抵抗本書は翻訳の研究書ではない。翻訳を通した世界文学論であり、英語作品から見た世界の文学的眺望図でもある。し…
書評 - 『西への出口』(新潮社)鴻巣 友季子
パキスタン出身の英語作家による、一種の難民小説である。この十年あまり、英語圏では、近未来ディストピア、歴史改変小説、終末世界ものなどが、と…
書評 - 『僕は珈琲』(光文社)鴻巣 友季子
ロック、ジャズ、昭和歌謡、洋画、邦画、文房具……片岡義男にひらめきを与える「詩神(ミューズ)」はいろいろあるが、珈琲(コーヒー)もその大切な…
書評 - 『女たちの沈黙』(早川書房)鴻巣 友季子
英米文学では「語り直し」ブームが続いている。名作を土台に語り手や舞台設定を替えて新たな物語を紡ぎだすという手法だ。多くは女性や弱者の視点で…
書評 - 『信仰』(文藝春秋)鴻巣 友季子
固定観念“ふつう教”に抗する何が正義で何が不正か、何が正気で何が狂気か。村田沙耶香はそれらを絶えず反転させながら、生(性)老病死のタブーに切…
書評 - 『クララとお日さま』(早川書房)鴻巣 友季子
AIが問う人間の本質人間は太古から、死による己の消滅に対抗し、死への恐怖を紛らわせてきた。その手段の一つが、自らの似姿を造ることなのではない…
書評 - 『鴨川ランナー』(講談社)鴻巣 友季子
外国語習得と他者性を巡る歪みと屈曲表題作と「異言(タングズ)」は、どちらも外国語習得と、他者性をめぐる物語である。異質なものとのつきあいと…
書評