ALL REVIEWS 2017年11月のアクセスランキング

  • 2017/12/30
全体的に高橋源一郎さん、豊崎由美さんの「無双」ぶりが印象的!
1位は鹿島茂さんの『男らしさの歴史』評。2位とダブルスコア以上の差でした。
『男らしさの歴史』は1冊9000円以上となかなかのお値段ですが、耐久消費財としてリセールも可能な書籍ですので、是非とも勇気を持って買ってもよいかもしれません笑。
2位、鹿島茂さん【書評】紀田順一郎『蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか』(松籟社)、
3位、高橋源一郎さん【書評】イヴァン・イリイチ『テクストのぶどう畑で』(法政大学出版局)、いずれも書籍と読書に関しての書評。
4位、豊崎由美さんの池上永一さん『ヒストリア』評。第8回山田風太郎賞を受賞、おめでとうございます!
ほか、読みたくなる書評が並んでいます!

2017年11月書評ランキング1-10位

1位:鹿島茂【書評】アラン・コルバン他『男らしさの歴史(全3巻)』(藤原書店)
「岩石のように分厚いが、その内容もまた超弩級(ちょうどきゅう)の破壊力を秘めた本。すべての人文・社会学系の学問の「既知」を破壊するかもしれない爆弾」

2位:鹿島茂【書評】紀田順一郎『蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか』(松籟社)
「いま日本の書籍文化は大きな危機を迎えている。新刊の販売部数が激減しているばかりでなく、それぞれの家庭に所蔵されていた本が文字通り「消えていく」可能性が非常に高くなってきたからだ。」

3位:高橋源一郎【書評】イヴァン・イリイチ『テクストのぶどう畑で』(法政大学出版局)
「イリイチは「読書」という行為が、ある時代に生まれた特殊な行為だということを綿々と述べている。要するに、ある時代までは「読書」というものは存在しなかったのである。」

4位:豊崎由美【書評】池上永一『ヒストリア』(KADOKAWA)
「池上永一は煉の物語を安易なハッピーエンドには着地させません。苦い思いをさそう、最後の1行。今だからこそ読みたい、反戦小説としても有効な大作なのです。」

5位:豊崎由美【書評】レベッカ・ブラウン『体の贈り物』(新潮社)
「ギブ&ギブ。レベッカ・ブラウンから手渡される贈り物は温かい。荒涼としかけている世界を救えるくらいに温かい。」

6位:豊崎由美【書評】矢作俊彦『ららら科學の子』(文藝春秋)
「「彼」や“わたし”は、何者かになれるのだろうか。それは果たして幸福なことなのだろうか。そんな感傷に包まれる。読後様々な思いや考えが去来する、これは全ての日本人が読むべき大切な一冊なのである。」

7位:豊崎由美【書評】阿部和重『インディヴィジュアル・プロジェクション』(新潮社)
「現代文学にとって必要不可欠な仕掛けを凝らした作品が近年あったろうか。若い世代にとりわけ読んでもらいたい一冊だ。自分が日々感じているやり場のない苛立ちの意味がわかるはずだから。」

8位:高橋源一郎【書評】カズコ・ホーキ『ロンドンの床下―カズコ・ホーキと借りくらしたち』(求龍堂)
「日本人による「イギリスもの」は漱石先生以来、数え切れぬほどあるし、わたしもそれなりに読んではいるが、この本は文句なく最高の一つ。わたしが講談社エッセイ賞の審査員ならこの本に◎をつけます。はい。」

9位:高橋源一郎【書評】ウィンストン・グルーム『フォレスト・ガンプ』(講談社)
「タカハシはけっこう楽しく『フォレスト・ガンプ』を読んだが、最後にどうしてもこう呟いてしまうのだけは止めることができなかったのだ。「ガンプ! もっと、アホになれ!」」

10位:石井千湖【書評】ジャンシー・ダン『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』(太田出版)
「子どもが生まれてから夫に激しい怒りをおぼえるようになってしまう。万国共通の母親の悩みに、真正面から向き合った本。夫婦にかぎらず、あらゆる人間関係の改善に応用できそうだ。男性にも、子どもがいない人にも一読をすすめたい。」

2017年11月書評ランキング11-20位

11位:原武史【書評】四方田犬彦『台湾の歓び』(岩波書店)
「四方田犬彦は群れない。学界の権威にもボスにもなりはしない。その徹底した生き方が、本書の伸びやかな文章を支えている。」

12位:楠木建【書評】イアン・カーショー『ヒトラー』(白水社)
「1998年に出版され、世界中でロングセラーとなっていた稀代の名著の日本語訳である。掛け値なしの決定版で、全人類必読の書にして後世への偉大な遺産である。」

13位:鹿島茂【書評】デズモンド・モリス『ウーマンウォッチング』(小学館)
「最近、女性誌などで「大人の女」を特集することが多く、しばしばコメントを求められるが、残念ながら、今の日本で需要があるのは「子供の女」である。」

14位:豊崎由美【書評】斎藤美奈子『文学的商品学』(文藝春秋)
「まっとうな文芸評論というだけではなく、小説の楽しみ方読本としても格好のテキストなのである。しかしそれにしても、男前の女が書く文章とは、どうしてこうもカッコいいのだろう。見習いたい。」

15位:辻原登【書評】ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』(集英社)
「クンデラの小説技法の新しさを云々されることが多いが、それはあまり大したことではないと思う。デュマの『三銃士』が面白いように、クンデラの小説にも、堪えられない旨さがある。」

16位:豊崎由美【書評】阿部和重『シンセミア』(講談社)
「比喩をできるだけ排除した文体効果や映画的描写もあいまって、文学臭をあまり感じさせないリーダビリティ高い作品になっているのだ。問題作はいつだって面白いんである。」

17位:豊崎由美【書評】カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』(早川書房)
「『わたしを離さないで』中の重要なエピソード、クローンの子どもたちが信じた切ない噂話を思い出す読者は多いのではないか。前作のテーマが、10年の後、新作の中で再び美しい音色を響かせる。イシグロ作品の愛読者にとって、とりわけ嬉しい1作ともいえるのだ。」

18位:豊崎由美【書評】カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』(早川書房)
「とにかく読んでみて下さい。ラストシーンがもたらす深い悲しみと苦い読後感といったら……。」

19位:酒井順子【書評】船曳由美『一〇〇年前の女の子』(講談社)
「一○○年前の生活風俗と、人々の気持ちとを正確に伝える本書は、娘から母に対する愛の書でもあります。「お母さんがお母さんでなかった頃」のお話は、娘にとって眩(まぶ)しく、哀(かな)しく、そして誇らしい。」

20位:豊崎由美【書評】森見登美彦『太陽の塔』(新潮社)
「新人らしからぬ韜晦(とうかい)と諧謔に満ちた巧緻(こうち)な語り口をひっさげ登場した森見登美彦の、二四歳の地の純情がはっきり見えるそのファンタスティックなシーンもまた、本書の美点なのである。」

2017年11月書評ランキング21-30位

21位:豊崎由美【書評】マット・マドン『コミック 文体練習』(国書刊行会)
「レーモン・クノー版とコミック版の文体練習を併読すると、言葉でしかできない試み、逆に絵が得意とする描写、同じ手法を用いた場合の言葉と絵の違いといった、言語表現と視覚表現の差異を楽しく易しく理解することができます。」

22位:町田康【書評】齋藤秀昭,泉鏡花,樋口一葉ほか『明治深刻悲惨小説集』(講談社)
「で、どうだったかというと、えげつなかった。えげつなく悲惨だった。2行読んでは鳴咽号泣、3行読んでは悶絶昏倒してしまうので、短いものであるのにもかかわらず、何日もかかってようやっと読み終えたような体たらくだった。」

23位:井上ひさし【選評】東野圭吾『容疑者Xの献身』(文藝春秋)
「彼のトリックは、彼のこの非人間性の上に成立する。作者の力量は疑いもなく十分、そこで最後の一票を東野作品に投じた。」

24位:瀬戸川猛資【書評】ビル・S・バリンジャー『歯と爪』(東京創元社)
「これは最高のサスペンス小説である。この傑作がなぜ海外で評価されていないのか、日本でもさほど評価が高くないのか、理解できない。」

25位:中野翠【書評】泉麻人『昭和遺産な人びと』(新潮社)
「ソバの出前持ち、インドリンゴ、ハエ取り紙、赤チン…。それを作ったり売ったり実演したりした人たちを訪ねて、当時の事情を聞き出しているところが目新しい。巷の、ポップな『プロジェクトX』だ。

26位:町田康【読書日記】週刊エコノミスト2016年9月6日号|『東海道四谷怪談訟』『丸山眞男の敗北』『北山十八間戸』
「猛暑で思考力が低下 本に涼を求めてみれば…」

27位:鹿島茂【書評】丸谷才一『いろんな色のインクで』(マガジンハウス)
「知的で楽しい読書を愛するすべての人に贈る一冊。」

28位:逢坂剛【書評】津村節子『紅梅』(文藝春秋)
「涙なしには読めなかったことを、正直に告白する。体の奥から絞り出される、このような痛切な叫びの記録を、書評というかたちで紹介するのは、しんからつらいものがある。」

29位:鹿島茂【書評】フランソワ・ラブレー、宮下志郎訳『ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉』(筑摩書房)
「渡辺訳にはなかったものがこの新訳にはある。それは、先へと進ませる力。私がひそかに「散文パワー」と命名している力である。」

30位:池内紀【書評】インゲボルク・バッハマン『三十歳』(岩波書店)
「清新な新訳で、早くに逝った?才を読んで気がつく。なんと現代的な心?状況が印象深く語られていることだろう。」
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