• 2018/01/14

ALL REVIEWS 2017年の年間アクセスランキングBEST100

2017年、ALL REVIEWSで最もアクセスの多かった書評をご紹介◎
読み逃しはありませんか?

2017年 BSET 1-20位

1位:俵万智【書評】野坂昭如『火垂るの墓』(新潮社)
「作品によって戦争を二次体験した私たちは、平和の重みをも知ることができるのでしょう。」


2位:俵万智【書評】若松英輔『若松英輔エッセイ集悲しみの秘義』(ナナロク社)
「もしあなたが今、このうえなく大切な何かを失って、暗闇のなかにいるとしたら、この本をおすすめしたい。」


3位:鹿島茂【読書日記】「私の読書日記」2017年5月25日号『コーヒーの科学「おいしさ」はどこで生まれるのか』『忘れられた人類学者エンブリー夫妻が見た〈日本の村〉』
「私の自慢の一つはおいしくコーヒーをいれる簡単な方法を知っていること。」


4位:四方田犬彦【書評】ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』(新潮社)
「若島正によるこの新訳は、今から半世紀ほど前に大久保康雄が手がけた初訳と比べて、比較にならないほど精緻に拵えられている。」


5位:俵万智【書評】まついのりこ『じゃあじゃあびりびり(まついのりこのあかちゃんのほん)』(偕成社)
「本というものは、ページをめくるたびに、新しい世界が現れるんだということが、くっきりとした色で伝わってくる。こっちだって、親としてまだ初心者なのだ。我が子と初めて絵本を読む、というのは、実はけっこうな戸惑(とまど)いがある。その点、「みず じゃあじゃあじゃあ」には救われた。」


6位:高橋源一郎【書評】C.S.ルイス『ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉』(岩波書店)
「いかん。もう涙が滲んで、文字が霞んできた。ええもんはええのお。エンデなんかメじゃあないなあ。」


7位:豊崎由美【書評】カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』(早川書房)
「『わたしを離さないで』中の重要なエピソード、クローンの子どもたちが信じた切ない噂話を思い出す読者は多いのではないか。前作のテーマが、10年の後、新作の中で再び美しい音色を響かせる。イシグロ作品の愛読者にとって、とりわけ嬉しい1作ともいえるのだ。」


8位:鹿島茂【書評】アラン・コルバン他『男らしさの歴史(全3巻)』(藤原書店)
「岩石のように分厚いが、その内容もまた超弩級(ちょうどきゅう)の破壊力を秘めた本。すべての人文・社会学系の学問の「既知」を破壊するかもしれない爆弾」


9位:吉本隆明【書評】村上春樹『ノルウェイの森』(講談社)
「現在の若い世代の性愛の風俗をかなりな程度、内在的に生き生きと写し取っており、それがこの作家を文学の若い世代の旗手にしている所以だとおもえる。」


10位:澁澤龍彦【書評】大江健三郎『日常生活の冒険』(新潮社)
「マゾヒズムとサディズムの接点は、まことに微妙で、見分けがたい。このへんが、わずかながら時代を隔てて生れた、わたしどもの世代と、大江氏の世代とのダンディズムの相違であろう。」


11位:豊崎由美【書評】カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』(早川書房)
「とにかく読んでみて下さい。ラストシーンがもたらす深い悲しみと苦い読後感といったら……。」


12位:若島正【書評】ダグラス・R.ホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環20周年記念版』(白揚社)
「自らの亀頭を口にくわえた伝説上の亀(うろおぼえでその名前が思い出せない。ウロオボエスだったか、それともウロボルヘス?)に似て、これは亀ならずとも大いに亀頭を悩ます問題だ。」


13位:鹿島茂【書評】中里介山『大菩薩峠〈9〉』(筑摩書房)
「かつて、これほど「変な」キャラクターを創造した作家がいるだろうか?」


14位:豊崎由美【書評】叶恭子『トリオリズム(小学館文庫)
「世の良識に照らし合わせれば”異端”の極である己を、ここまで率直に表せる自信と高慢。オデはめっちゃ好き。」


15位:豊崎由美【書評】樋口裕一『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP研究所)
「書店や図書館には、いくらでも読まれるべき本が埋もれておりましてよ。」


16位:高橋源一郎【書評】イタロ・カルヴィーノ『なぜ古典を読むのか』(みすず書房)
「イタロ・カルヴィーノは、「本を読む能力も卓越した、素晴らしい作家」の代表である。そのカルヴィーノが古典の読み方を、『なぜ古典を読むのか』(須賀敦子訳、みすず書房)でわたしたちに教えてくれる。」


17位:澁澤龍彦【書評】石原慎太郎『行為と死』(新潮社)
「最近、大江健三郎の『日常生活の冒険』を読み、次いで石原慎太郎の『行為と死』を読んだが、いろいろな意味で、この若い世代のホープと目される二作家の対比は、おもしろかった。」


18位:牧眞司【書評】ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』(集英社)
「『百年の孤独』のように人口に膾炙した作品ではないが、その衝撃度において、南米文学の山脈にひときわ高く聳える」


19位:鹿島茂【書評】いそのえいたろう『性狂伝』(徳間書店)
「性を論じて「質量転換の奇跡」の起こった本、こう言っていいのではないだろうか。」


20位:中野翠【書評】業田良家『自虐の詩』(竹書房)
「ラストシーンでの「幸や不幸はもういい、どちらにも等しく価値がある。人生には明らかに意味がある」という言葉が、胸に深々としみ渡る。」


2017年 BSET 21-40位

21位:高山宏【コラム】ぼくの「大学」は、欧米の書評誌だった
「「書物検索ノート(ビブリオ・マシーン)」は高山宏の生命線」


22位:鹿島茂【書評】『マラルメ全集I詩・イジチュール』(筑摩書房)
「『マラルメ全集』は、若き日のマラルメと同じく「虚無」と「自我の非―人称化」という存在の困難を抱えこまざるをえない二十一世紀の若者にこそ開かれている」


23位:高橋源一郎【書評】ビートたけし『漫才病棟』(文藝春秋)
「バランスが絶妙なのは、四迷が「思想」にこだわったのに、たけしの方が正しく円朝の「語り」の精神に近いせいだろう。」


24位:大森望【書評】田中芳樹『銀河英雄伝説1黎明編』(東京創元社)
「『三国志』にひけをとらない。まだ『銀英伝』を知らない人は、夏休みの一気読みにぜひ。」


25位:鹿島茂【書評】ジャン=クリスチャン プティフィス『ルイ十六世』(中央公論新社)
「三年前、パリ行きの飛行機で『パリ・マッチ』を開いたら、与党と野党の大物政治家がともに「ヴァカンス中に読んで面白かった本」の筆頭に本書を挙げていた。」


26位:町田康【解説】中島らも『バンド・オブ・ザ・ナイト』(講談社)
「着想といい文章といい才気が迸るようで、すでに後年の中島らも節が完成しているように思え…」


27位:鹿島茂【書評】ウィリアム・リッチーニュートン『ヴェルサイユ宮殿に暮らす?優雅で悲惨な宮廷生活』(白水社)
「ヴェルサイユ宮殿の「下部構造」を宮内府建設部長や城館総督への報告書や苦情などの資料から総合的に明るみに出そうとする新しい試み。『ベルサイユのばら』のカウンターとして読まれるべき一冊」。


28位:高橋源一郎【書評】レーモン・クノー『文体練習』(朝日出版社)
「クノーという作家は「前衛」的ではあったけれど、そういう看板やスローガンを超えた、なんともチャーミングな作家だった。なんてったって、『地下鉄のザジ』の作者だものね。」


29位:俵万智【書評】江國香織『きらきらひかる』(新潮社)
「小説を読み終えたとき、何らかの「色」が胸の中に広がっていくことが、よくある。この本の場合は、うすむらさき色のソーダ水がはじけるような感じだった。」


30位:澁澤龍彦【書評】三島由紀夫『午後の曳航』(新潮社)
「三島氏自身が好んで使う言葉を利用させてもらえば、この小説は、「夢想というものの重いイローニッシュな響き」に全篇みちみちた小説である。蛇足をつけ加えれば、この小説は傑作である。」


31位:堀江敏幸【書評】イタロ・カルヴィーノ『なぜ古典を読むのか』(みすず書房)
「古典を、いや本を読むのは、それがなにかの「役に立つ」からではなく、読まないよりはましだからであるという事情を、カルヴィーノはきちんと弁えていた。明るさと節度を保った彼の言葉は、だからこそ信用に値するのである。」


32位:豊崎由美【書評】ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』(集英社文庫)
「かつての自分を殴ってやりたい。再読してみたら、それほどの傑作だったのです。」


33位:高橋源一郎【書評】しまおかゆうすけ『うんこ―ウゴウゴ文学大賞選集』(フジテレビ出版)
「少年少女たちから寄せられた大量のうんこについて」


34位:豊崎由美【書評】青木淳悟『いい子は家で』(新潮社)
「世間に垂れ流されているオカン賛歌本に対するアンサーソングとして、これはかなりトリッキーで痛烈な批判性を備えた小説なんであります。青木淳悟の黒さに拍手。」


35位:平野啓一郎【書評】『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社)
「この本には、やるせなさが満ちている。しかし同時に、この本は救いである。木村政彦は、最後に勝利した。彼はその魅力によって復活した。リヴェンジはここに、ペンによって果たされた。」


36位:俵万智【書評】浜田広介『りゅうの めの なみだ』(偕成社)
「「りゅうに、きてねっておねがいしちゃったの」嬉しそうに言う息子を見ていると、なんだか本当に、りゅうが遊びにくるような気がしてくる。」


37位:吉本隆明【書評】中島みゆき『中島みゆき全歌集』(朝日新聞社)
「その圧倒的な迫力は、わたしたちの贋の「知」や「理」を押し流し、圧し倒すほどの力量に達してしまった。それが一見古風な中島みゆきの世界に、わたしたちが魅せられてきた根拠だとおもう。」


38位:平野啓一郎【書評】紫式部『紫式部日記現代語訳付き』(角川学芸出版)
「紫式部は孤独であった。その孤独は、いかにしても慰めようのない孤独に見える。彼女の死後千年を経った今でも、彼女を「なのめなる」世界から遠ざけ続けている孤独である。」


39位:高橋源一郎【書評】赤瀬川原平『新解さんの謎』(文藝春秋)
「きわめて伝染性の高い『新解さんの謎』は「新解さん」=「新明解国語辞典」の不可思議な魅力について書かれた本である。」


40位:豊崎由美【書評】岸本佐知子『ねにもつタイプ』(筑摩書房)
「ここには、常識に曇った目をまっさらに洗い流してくれる奇想があります。奇想が生む驚きと美しいイメージがあります。驚きが生む笑いがあります。美しいイメージが生む歓びがあります。」
https://allreviews.jp/review/157


2017年 BSET 41-60位

41位:豊崎由美【書評】レベッカ・ブラウン『体の贈り物』(新潮社)
「ギブ&ギブ。レベッカ・ブラウンから手渡される贈り物は温かい。荒涼としかけている世界を救えるくらいに温かい。」


42位:高橋源一郎【書評】森川直樹『あなたがホームレスになる日―平成大不況の恐怖 急増する路上生活者の実態レポート』(サンドケー出版局)
「ほんものの方は本は読まないが「予備軍」の方は、ふつうの人以上に本を読むような気がするんだけど。そんなことを考えながら、ぼくは水上さんの本をうっとりと読んでいたのだった。」


43位:若島正【後書き】ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』(新潮社)
「ナボコフが想定した理想の読者はあなたなのだ。二〇〇五年のロリータが、二〇〇五年の新しい読者に出会う。『ロリータ』が読まれるべき瞬間は、今だ。」


44位:井上ひさし【選評】朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』(集英社)
「いたるところに瑞々(みずみず)しい才気を読み取って、選者冥利を味わった。この作者もまた、先が楽しみだ。」


45位:高橋源一郎【書評】加藤典洋『言語表現法講義』(岩波書店)
「読んでいる時間より、頁から目を上げて、あれやこれや考えたりしている時間の方が長かった。それは、最高の読書をしたということだ。」


46位:豊崎由美【書評】坂東眞理子『女性の品格』(PHP研究所)
「わたしが膝を打ったのはこんな提言。〈ベストセラーや話題のハウツーものをどんどん読み捨てて、題名さえ覚えていない読書をしていては、人生は豊かになりません〉おっしゃるとおりでございますっ!」


47位:豊崎由美【書評】矢作俊彦『ららら科學の子』(文藝春秋)
「「彼」や“わたし”は、何者かになれるのだろうか。それは果たして幸福なことなのだろうか。そんな感傷に包まれる。読後様々な思いや考えが去来する、これは全ての日本人が読むべき大切な一冊なのである。」


48位:澁澤龍彦【書評】宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』(新潮社)
「奇妙な形容詞が、たちどころに五つも十も思い出せるほど、私の記憶にそれらは深く刻みつけられている。」


49位:平野啓一郎【書評】ランボオ『地獄の季節』(岩波書店)
「敢えてその「行為」を選び、予言通り「衰耗をでっち上げ」て、死んでいった。或いは、死なねばならなかった。それが彼の「生きる」ことであった。」


50位:高橋源一郎【書評】イヴァン・イリイチ『テクストのぶどう畑で』(法政大学出版局)
「イリイチは「読書」という行為が、ある時代に生まれた特殊な行為だということを綿々と述べている。要するに、ある時代までは「読書」というものは存在しなかったのである。」


51位:鹿島茂【書評】紀田順一郎『蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか』(松籟社)
「いま日本の書籍文化は大きな危機を迎えている。新刊の販売部数が激減しているばかりでなく、それぞれの家庭に所蔵されていた本が文字通り「消えていく」可能性が非常に高くなってきたからだ。」


52位:豊崎由美【書評】池上永一『ヒストリア』(KADOKAWA)
「池上永一は煉の物語を安易なハッピーエンドには着地させません。苦い思いをさそう、最後の1行。今だからこそ読みたい、反戦小説としても有効な大作なのです。」


53位:平野啓一郎【書評】トーマス・マン『魔の山』(新潮社)
「マンは「いかがわしさ」を誰よりも知悉していた。さもなくば、どうして彼の「市民」という言葉が、滑稽に響かないことがあるだろうか。」


54位:鹿島茂【解説】三島由紀夫『三島由紀夫のフランス文学講座』(筑摩書房)
「こうした本を編纂することが長年の夢だった。だから、今回、夢を実現できて、本当にうれしい。今でも、なにか、素晴らしい文学作品に出会うたびに、三島由紀夫なら、これをなんと言っただろうと思うことしきりである。本書が、新たな三島研究の発端になることを切に願う次第である。」


55位:瀧井朝世【書評】西原理恵子『いけちゃんとぼく』(角川書店(角川グループパブリッシング))
「無力でちっぽけだった“子供”を経験した大人に、訴えてくるものがある。」


56位:町田康【解説】鈴木いづみ『鈴木いづみ セカンド・コレクション〈3〉 エッセイ集(1) 恋愛嘘ごっこ』(文遊社)
「いま、どのように生きるべきか迷っている人にとって本書はきわめて実用的な指南書である。
生きるということは苛烈なことであり、しかし、苛烈に生きることが楽しく生きるということだということを本書は教えているのである。」


57位:鴻巣友季子【書評】恩田陸『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)
「それにしても、まさか、作者が四人の全ステージ・全曲を文字で「聴かせる」とは、思っていなかった。間違いなく恩田陸の新たな代表作となる傑作である。」


58位:瀬戸川猛資【書評】ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』(東京創元社)
「解説で鏡明氏が”A・C・クラークの『太陽系最後の日』の読後感に似ている”と述べているが、まったく同感で、壮大な時間的広がりを見せて終わるこのラスト、感動的である。」


59位:俵万智【書評】与謝野晶子『みだれ髪』(KADOKAWA)
「理屈よりも強い、愛というものを、えいやっと一冊にまとめあげた晶子の力技。それを感じとるということが『みだれ髪』を読むということ」。


60位:俵万智【書評】酒井駒子『よるくま』(偕成社)
「「早く寝なさい」の一言をこらえて、子どもの話をよく聞ける自分でいたいものだと、『よるくま』を開くたびに思う。」


2017年 BSET 61-80位

61位:平野啓一郎【書評】種村季弘『種村季弘傑作撰』(国書刊行会)
「私は、あれもこれもという、ほとんど魔術的な博捜に浸りながら、久しぶりに、創造的であるために必要な滋養をたっぷりと与えられたような満足を覚えた。」


62位:鹿島茂【書評】エルヴェ・ド・サン=ドニ『夢の操縦法』(国書刊行会)
「夢という観点から文学芸術を見直すために不可欠な一冊。澁澤龍彦が『悪魔のいる文学史』で紹介して以来、名のみ高かった古典の待望の翻訳である。」


63位:高橋源一郎【書評】フィリップ・K.ディック『ティモシー・アーチャーの転生』(東京創元社)
「実をいうと、ちょっと不安だったのだ。もうディックなんか面白くないんじゃないかと。そんなことはなかった、すっげえ面白い。昔読んだ時には感じなかったこと思わなかったことを、感じそして思う。前より面白いかもしれない。」


64位:吉本隆明【書評】村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮社)
「明るく軽く物哀しい終末感と日常的な倦怠感とを、高い質でみなぎらせたSF的な世界を、この作品ではじめて、わたしたちは見ることができたのだといえよう。」


65位:吉本隆明【書評】ジル・ドゥルーズ『意味の論理学』(法政大学出版局)
「その空孔から「人間」のものでもなく、「神」のものでもないような意味を生産させること。ドゥルーズは、それが現在ということであり、現在の仕事だと語りかけている。」


66位:井上ひさし【選評】原武史『昭和天皇』(岩波書店)
「司馬先生が生きておられたら、この本を材料に一週間ぐらいお話をつづけられたに違いない。これは国民全員に読んでほしい。天皇一家はこういう一家で、こういうことを信じて象徴となっているんだと考えてほしい。それにふさわしい一冊を、私たちは手にしました。」


67位:鹿島茂【書評】三宅徳嘉他『白水社ラルース仏和辞典』(白水社)
「フランス語をより正しく理解し、書き、話したいと思う人、いや、言葉に関心のある人ならだれにでも強く勧めたい画期的な辞書である。」


68位:豊崎由美【書評】川口晴『犬と私の10の約束』(文藝春秋)
「稀代のケモノバカとして、このような横暴を許しておくわけにはまいりません。川口晴と文藝春秋は猛省しる!」


69位:町田康【書評】保坂和志『試行錯誤に漂う』(みすず書房)
「それは自分のような小説家にとっては凡庸な表現で申し訳ない、目から鱗(うろこ)が落ちるような心持ちのする、衝撃的な考えであった。」


70位:町田康【解説】隅田川乱一『穴が開いちゃったりして』(石風社)
「ああ。もっといろいろ思い出すことはあるのだけれども、これで終わりじゃないぜ、自分はこれからも何度も繰り返し美沢さんの書いたものを読むだろうから。それでおもったことがあったら自分も書きたい。想いや仕事をいまや、これからの人につなげたい伝えたい、と僭越ながら思っています。」


71位:鹿島茂【書評】山田風太郎『山田風太郎明治小説全集 (4) 幻燈辻馬車』(筑摩書房)
「幻燈辻馬車。なんという見事なタイトルだろうか。そこには、いかにも過去にありそうな、それでいて、決してあったはずのない摩詞不思議な「異次元の歴史」、山田風太郎ワールドが現出する。」


72位:鹿島茂【読書日記】鹿島茂|文藝春秋「エロスの図書館」|『フォーチュンクッキー』『聖なる快楽――性、神話、身体の政治』『性体験』
「まずは、女の性欲について。おそらく、後代の歴史家は、二十世紀末の日本を振り返って、こう記するにちがいない。「二十世紀末の性革命は、六〇年代のそれとは異なり、女による、女のための、女の性欲の肯定を特徴とした」と。」


73位:鹿島茂【書評】石井洋二郎『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房)
「本書は、日本におけるロートレアモン研究の第一人者が、こうした伝記的発見のすべてを踏まえた上で、「とかく二律背反的にとらえられがちな二つの研究方法、すなわちテクスト分析(内的読解)と実証研究(外的読解)を可能な限り有機的に連動させるよう心がけながら」書き上げた、語の正しい意味での労作である。」


74位:森まゆみ【コラム】書評を楽しくするには
「新聞の書評が面白くない、という声をしばしば聞く。つい先頃まで書評を書いていた私自身も、感じないことではなかった。これは読んでみよう、買ってみようという気になる本が一冊もないことすらある。なぜだろう。書く側、読む側双方から考えてみたい。」


75位:豊崎由美【書評】渡辺淳一『愛の流刑地』(幻冬舎)
「でも、この先誰もアナタの小説を読まなくなったって、オデだけは読んだげる。相手になったげる、愛の流刑地で。」


76位:鹿島茂【書評】アンヌ・ヴィアゼムスキー『彼女のひたむきな12カ月』(DU BOOKS)
「ゴダールと離婚後、小説家に転じ、文学賞も受賞しているアンヌ・ヴィアゼムスキーが二度とない熱い青春時代を描いた実名小説の傑作である。」


77位:俵万智【書評】『三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)』(福音館書店)
「三歳のときに丸暗記していたということを、実は自分は、ちょっと得意に思っていた。が、それは、丸暗記するまで読んでくれた母のおかげだったと、身に沁みて思う今日このごろだ。」


78位:北村浩子【書評】カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』(早川書房)
「夢や希望を持って生きることのできない人間の生を描くことで、人間らしさとはなにか、という「問い続けられてきた問い」を、カズオ・イシグロはこの小説で堂々と提示してみせる。」


79位:高橋源一郎【書評】ウィンストン・グルーム『フォレスト・ガンプ』(講談社)
「タカハシはけっこう楽しく『フォレスト・ガンプ』を読んだが、最後にどうしてもこう呟いてしまうのだけは止めることができなかったのだ。「ガンプ! もっと、アホになれ!」」


80位:豊崎由美【書評】マット・マドン『コミック 文体練習』(国書刊行会)
「レーモン・クノー版とコミック版の文体練習を併読すると、言葉でしかできない試み、逆に絵が得意とする描写、同じ手法を用いた場合の言葉と絵の違いといった、言語表現と視覚表現の差異を楽しく易しく理解することができます。」

2017年 BSET 81-100位

81位:米原万里【読書日記】「私の読書日記」週刊文春2002年2月28日号|打ちのめされるようなすごい小説『夜の記憶』『心の砕ける音』『笹まくら』
「一年あまり前、友人で小説家のHから突然メールが届いた。」


82位:斎藤環【書評】國分功一郎『中動態の世界 意志と責任の考古学』(医学書院)
「「本人の意志や、やる気ではどうにもできない病気」であることが理解されない。本書のスリリングな問いは、ここから始まる。」


83位:平野啓一郎【書評】芥川龍之介『或日の大石内蔵之助』(岩波書店)
「〈正義〉を巡る作者の緻密な考察に、単なる心理解剖以上の政治的誠実さを認めるであろう。芥川のアクチュアリティは、今日、まさにこの点にこそ存している」


84位:豊崎由美【書評】ジョン・マクレガー『奇跡も語る者がいなければ』(新潮社)
「一人でも多くの“あなた”に語り部になってほしい。そんな共感の輪を静かに広げる作品」。
https://allreviews.jp/review/1025


85位:鷲田清一【書評】ロラン・バルト『モードの体系』(みすず書房)
「その触角は閉じた体系としての知でなく、開かれ、横滑りしていく知のいかがわしくも官能的なよろこびを教えてくれた。」


86位:石井千湖【書評】ジャンシー・ダン『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』(太田出版)
「夫婦にかぎらず、あらゆる人間関係の改善に応用できそうだ。男性にも、子どもがいない人にも一読をすすめたい。」


87位:鹿島茂【書評】フランソワ・フュレ『幻想の過去―20世紀の全体主義』(バジリコ)
「格差社会の到来で反ブルジョワ感情が高まりつつある昨今、コミュニズムにもファシズムにも陥らないために精読すべき一冊。」


88位:中江有里【書評】村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)
「心地よく変化する小説。読者それぞれの胸のうちにこしらえられるプラットホームから、本作を眺めてほしい。」


89位:鹿島茂【書評】サルトル『自由への道』(岩波書店)
「新しい光源から光が当り、二一世紀的に蘇(よみがえ)ってくる二〇世紀の大作」。


90位:辻原登【書評】アゴタ・クリストフ『悪童日記』(早川書房)
「新刊書を一読して、掛け値なしで、傑作だ! と呼べる本はそうざらにはない。いまさらいうまでもないが、『悪童日記』は傑作だ!」


91位:高山宏【コラム】「知性の夏」に、ぼくは澁澤を読んだ
「読んだ年こそその初出の年なのだと言って、熟読しさった。『迷宮としての世界』と『夢の宇宙誌』、ぼくはそのさわりを今でも自由にそらんじることができる」


92位:中野翠【書評】岸本佐知子『ねにもつタイプ』(筑摩書房)
「奇想で名文。ホレボレする程、文章が愉しく、うまい。読みながら何度かチョコレートの詰め合わせを連想した。一粒一粒ゆっくりゆっくり味わってもらいたい。」


93位:豊崎由美【書評】渡辺淳一『愛の流刑地』(幻冬舎)
「ジュンちゃん入魂の大作。偏執的に描かれた性技の国際見本市!」


94位:吉本隆明【書評】高橋源一郎『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社)
「そして作品を読むことも、論ずることも拒むように書かれたこういう個所で、戦略好きのこの作者の孤独が透明にみえてくるのだ。」


95位:鹿島茂【コラム】私の好きなもの
「(1)古書目録を読むこと。もし、書評という義務がなかったら、私は古書目録ばかりを読んでいて、本はほとんど読まないかもしれない。(2)パリのカフェのテラスに座って…」


96位:高橋源一郎【書評】カズコ・ホーキ『ロンドンの床下―カズコ・ホーキと借りくらしたち』(求龍堂)
「わたしが講談社エッセイ賞の審査員ならこの本に◎をつけます。はい。」


97位:米原万里【読書日記】「私の読書日記」週刊文春2003年2月27日号『ロシア建築案内』『スポーツ解体新書』『趣味は読書。』
「脱帽の三冊。チェチェンと戦争している間はロシアを訪れまいと心に決めていたのに…」


98位:豊崎由美【書評】舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』(新潮社)
「本読みとしての直感が告げておりますの。「おめえ、こりゃ傑作だぞ」」


99位:中江有里【読書日記】「3冊の本棚」東京新聞『たまきはる』『時空超えた沖縄』『神さまたちの遊ぶ庭』
「きっと誰にも神さま、神さま的な存在があるのではないでしょうか。」


100位:豊崎由美【書評】桜庭一樹『私の男』(文藝春秋)
「ものすごく危険な小説、『私の男』。トヨザキ平伏つかまつり候」
関連ニュース
ページトップへ